阪東妻三郎主演、日本の映画である。
明治30年、小倉。
博打好きで喧嘩好きの富島松五郎は、しばらく追放されていたが、故郷に帰ってきた。
彼は人力車夫で、「無法松」と渾名されている。
ある日松五郎は、仕事の帰りに喧嘩をして、頭を割られた。
相手は若松警察の剣撃師範だったため、負けるのは当たり前。
彼は、木賃宿でしばらく寝込んだ。
元気になった彼は、仲間の熊吉と芝居小屋に出かけた。
そして、自分達の枡席で、酒の肴にとニンニクを炊き始めた。
それで木戸番と喧嘩になり、土地の大物、結城重蔵がとりなした。
別の日。
仕事の帰りに松五郎は、竹馬で堀に落ちた少年・敏雄を助けた。
敏雄の父は陸軍大尉の吉岡小太郎で、「無法松」を知っていて、一度会って話をしたいと思っていた。
そして松五郎は、吉岡に呼ばれて、ご馳走になった。
ところがその夜、吉岡は風邪をこじらせて寝込んでしまう。
そして、そのまま亡くなってしまった。
よし子夫人は、一人息子の敏雄が不憫だった。
夫人から信頼され、頼りにされた松五郎は、嬉しかった。
そして、夫人と敏雄に献身的に尽くした。
やがて、引っ込み思案だった俊夫が積極的になってきた。
高校に入る頃には、他校の生徒たちと喧嘩するくらいになった。
母は心配するが、松五郎は、敏雄の成長が頼もしかった。
この作品は、松五郎の秘めた純愛物語である。
爽やかな気分にさせられる。
これは戦時中に作られたものなので、軍の検閲が入っている。
戦後には、GHQの検閲も入った。