captainsunday’s blog

ネタバレしないように、思い出に残っている映画を、簡単に解説しています。

笑の大学

役所広司稲垣吾郎主演、日本の映画である。

 

昭和十五年、日中戦争最中の日本。

 

庶民の娯楽が規制され、舞台演劇の台本は検閲を受けていた。

 

警視庁保安課検閲係に就任した向坂は、真面目で堅物、厳しく検閲を行っている。

 

彼は、持ち込まれた台本の修正箇所を示し、脚本家がその場で拒否したら、即、不許可にした。

 

劇団「笑の大学」 専属の脚本家、椿も、持ち込んだ脚本が不許可になった。

 

ロミオとジュリエット」 をパロディにした「ジュリオとロミエット」 の表題だけでなく、外国文学ということも、不許可の理由だ。

 

向坂は、登場人物を日本人して、日本の演劇に書き直せば許可すると言う。

 

椿は、持ち帰って修正することにした。

 

翌日、椿は登場人物を貫一とお宮に変えてきた。

 

金色夜叉をベースにした喜劇なのだが、向坂は、「お国のため」 というセリフを三回入れろという。

 

椿は、持ち帰った。

 

三日目、お国のための国を、芸者の「お国ちゃん」 にして笑いを取りに行く仕掛けにしたが、向坂は気に入らない。

 

その場で書き直すが、お笑いにしたい椿は、「お肉のため」 にしてしまい、顰蹙を買った。

 

四日目には、警察署長の名前の警察官を登場させるよう、向坂は要請した。

 

二人のやり取りが続いていくうちに、堅物だった向坂が、お笑いに目覚めていく。

 

この作品は、部屋の中で向き合う向坂と椿、二人のシーンが殆どである。

 

権力側として、難癖を付けて上演をさせたくない向坂と、向坂の要請を受け入れつつ喜劇に仕上げていく椿の、鬩ぎ合いが面白い。