フランス、アメリカ合作の映画である。
ファッション誌「ELLE」の編集長ジャン=ドミニク・ポービー ( 愛称・ジャン・ドー ) は、病院のベッドで目覚めた。
彼は、運転中に脳梗塞を起こして、昏睡状態だったのだ。
目覚めた彼は、目が見えるし、耳も聞こえるし、意識もはっきりしているが、全身が麻痺していた。
動かせるのは、左の瞼だけという状態だ。
医師の診断は、ロックト・イン・シンドローム ( 閉じ込め症候群 ) だった。
まだ42歳の彼は絶望したが、言語聴覚士アンリエット・デュラン、理学療法士マリー・ロペスの二人の美女に励まされ、リハビリを始めた。
生来の女好きが幸いした。
彼は、アンリエットの勧めで、瞬きによる意思疎通を始めた。
イエスなら1回、ノーなら2回、瞬きをする。
これで、見舞いに来た元妻セリーヌにも、意思を伝えることができた。
次に、アンリエットがアルファベットを読み上げ、瞬きした時の文字を書き取り、文章を作ることに取り組んだ。
これは、タイミングがなかなか合わず、ジャン=ドーは苛立ったが、アンリエットは根気よく続けさせた。
彼はそれまで、思い潜水服を着けて海底にいるように感じていたが、想像力を駆使して蝶のように舞えることに気づいた。
そして、自伝を書くことにした。
この作品は、実話に基づいている。
挿入されている元気だった頃の回顧シーンが、病室の彼の厳しい現実を、効果的に強調している。