アルゼンチンの映画である。
中年男性フアン・ビジュガスは、手作りのナイフを売っているが、誰も買ってくれない。
彼は少し前まで、ガソリンスタンドで整備士として働いていた。
20年も勤めていたのに、経営者が代わった途端にクビになったのだった。
それで、娘夫婦の家で居候していた。
ある日、彼は車が故障して困っている婦人を助けた。
家まで送り届けてやり、車の修理もしてやった。
そのお礼にと、強引に白い犬を押し付けられた。
ドゴ・アルヘンティーノという高級な血統の犬なのだが、金のないフアンは、あまりありがたくなかった。
しかし、犬 ( ボンボン ) を助手席に乗せると、彼の気持ちは安らいだ。
家に連れた帰ると、娘は大激怒だ。
彼は犬を取るか、家を取るかの選択を迫られ、犬を取った。
フアンは、ボンボンと車で旅に出た。
途中、小切手を現金に換えるため、銀行に寄った。
するとエラい人が犬を連れた彼を部屋に通して、トレーナーを紹介してくれた。
紹介されたトレーナー、ワルテル・ドナードは、強面だ。
「この犬を訓練して、ドックショーに出す。いい成績を上げたところで、種付けさせて儲けよう。」と大張り切りだ。
訓練が実り、ボンボンは3位に入賞した。
そして、種付けの約束もとりつけた。
ところが、いざ種付けとなると、うまくいかなかった。
獣医は、恐らく幼少期のトラウマのせいだろうと言う。
仕方がないので、フアンはボンボンをワルテルに預けて、職探しに出た。
その間に、ボンボンは逃げ出してしまう。
この作品の主人公フアンも、ワルテルも俳優ではない。
それで、本名で出ている。
ワルテルは、実際に犬のトレーナーだ。
全体的に牧歌的で、のんびりした雰囲気の作品に仕上がっている。
食料の豊かな国では、みんな、いい人なのだろう。
そんな感じのする作品だ。