知的障害者自立支援施設「ひまわり荘」。
12月25日は、うーやんの誕生日だ。
うーやんは、今日、恋人のマコと結婚するつもりでいる。
同じ入居者の頼さんが、工場から大きなクリスマスツリーを、勝手に持って帰ってきた。
そこに、うーやんの妹・智子が来て、「マコちゃんとは結婚できないの」 と告げる。
ぐずるうーやんのところに、新聞の一片が飛んできた。
テレビの報道で、「漫画家・愛情いっぽんさんの娘、阿波野マコさんが亡くなっているのが見付かりました。」と、ニュースが流れた。
遡って、4月。
愛情いっぽんは、かつて「長万部くん」 というヒット作があったが、娘のマコが生まれた直後、妻に先立たれた。
マコには知的障害があり、この30年、いっぽんは世話のために執筆できず、アルバイトで暮らしてきた。
マコは、ある事件が切っ掛けで、男性を恐れるようになった。
いっぽんは、編集者の夏目に連れられて、ひまわり荘を訪れた。
医師の国松先生、その妻・真理子、娘のはるか、毒舌のスタッフ袴田さんが運営している。
入居者は、うーやん、頼さん、島ちん、仙波さんの男四人だ。
訪れた日に、智子の婚約者に間違えられるというハプニングはあったものの、マコが入所し、いっぽんは住み込みで働くようになった。
マコは、入居者の男性には、恐怖を感じなかった。
しばらくは楽しい日々が続いた。
ある日、いっぽんが吐血した。
この作品は、前半は軽やかに流れていく。
冒頭の衝撃的なニュースも、少しふざけていて、想像か嘘と思わせる。
登場人物の台詞で、障害者、障害者を持つ家族、そうでない一般の人の本音がぶつかりあう。
鑑賞後に、モヤモヤしたものが残る作品だ。
しばらく、考えさせられる。
問題を投げかけるという意図は、成功している。