captainsunday’s blog

ネタバレしないように、思い出に残っている映画を、簡単に解説しています。

オリエント急行殺人事件

アメリカの映画である。

 

エルキュール・ポアロは、エルサレムのホテルで朝食をとろうとしていた。

 

そこに、事件の知らせが入る。

 

聖なる宝飾品が盗まれ、容疑者として、ラビ、司祭、イマームが、嘆きの壁の前に引っ立てられた。

 

そこにポアロが登場する。

 

周囲には、ポアロの推理を一目見ようと、大勢の野次馬が集まっている。

 

ポアロは、推理を展開し、イギリス警察の警部が犯人だと告げた。

 

この事件は解決したが、ポアロに、急遽ロンドンへ戻れとの連絡が入った。

 

ポアロはフェリーに乗り、スイタンブールに着いた。

 

そこで再会した友人の配慮で、オリエント急行に乗車する。

 

冬の閑散期なのに、何故だか一等車は満席で、ポアロは二等車に乗車した。

 

明くる朝、一等車に移動できた。

 

アメリカ人の美術商ラチェットは、脅迫状を受け取っていた。

 

彼は食堂車でポアロに接近し、事情を説明して警護を依頼した。

 

しかしポアロは、嫌悪感から、これを断った。

 

その夜、物音がして、ポアロは何度も目を覚まさせられた。

 

雪崩が起きた。

 

列車は立ち往生してしまう。

 

ポアロは、鍵が掛ったラチェットの部屋をこじ開け、彼が死んでいるのを発見した。

 

ラチェットには、12ヵ所もの刺し傷があった。

 

ポアロは、乗客の尋問を始めた。

 

ポアロ役は、ケネス・ブラナーである。

 

小説のイメージとかけ離れていて、馴染めなかった。

 

吹き替え版を見たのだが、ポアロ草刈正雄が担当している。

 

この人選は、大きな失敗だ。

 

滑舌が悪く、台詞が聞き取りにくい。

 

そして、台詞回しが単調だ。

 

客寄せパンダは、必要ないだろうに。

くちづけ

貫地谷しほり竹中直人主演、日本の映画である。

 

知的障害者自立支援施設「ひまわり荘」。

 

12月25日は、うーやんの誕生日だ。

 

うーやんは、今日、恋人のマコと結婚するつもりでいる。

 

同じ入居者の頼さんが、工場から大きなクリスマスツリーを、勝手に持って帰ってきた。

 

そこに、うーやんの妹・智子が来て、「マコちゃんとは結婚できないの」 と告げる。

 

ぐずるうーやんのところに、新聞の一片が飛んできた。

 

テレビの報道で、「漫画家・愛情いっぽんさんの娘、阿波野マコさんが亡くなっているのが見付かりました。」と、ニュースが流れた。

 

遡って、4月。

 

愛情いっぽんは、かつて「長万部くん」 というヒット作があったが、娘のマコが生まれた直後、妻に先立たれた。

 

マコには知的障害があり、この30年、いっぽんは世話のために執筆できず、アルバイトで暮らしてきた。

 

マコは、ある事件が切っ掛けで、男性を恐れるようになった。

 

いっぽんは、編集者の夏目に連れられて、ひまわり荘を訪れた。

 

医師の国松先生、その妻・真理子、娘のはるか、毒舌のスタッフ袴田さんが運営している。

 

入居者は、うーやん、頼さん、島ちん、仙波さんの男四人だ。

 

訪れた日に、智子の婚約者に間違えられるというハプニングはあったものの、マコが入所し、いっぽんは住み込みで働くようになった。

 

マコは、入居者の男性には、恐怖を感じなかった。

 

しばらくは楽しい日々が続いた。

 

ある日、いっぽんが吐血した。

 

この作品は、前半は軽やかに流れていく。

 

冒頭の衝撃的なニュースも、少しふざけていて、想像か嘘と思わせる。

 

登場人物の台詞で、障害者、障害者を持つ家族、そうでない一般の人の本音がぶつかりあう。

 

鑑賞後に、モヤモヤしたものが残る作品だ。

 

しばらく、考えさせられる。

 

問題を投げかけるという意図は、成功している。

 

 

 

 

風立ちぬ ( 1976 )

三浦友和山口百恵主演、日本の映画である。

 

昭和17年、軽井沢。

 

元外交官・水沢欣吾の別荘は、大学生が集まって賑やかだ。

 

それに、欣吾の一人娘で女学生の節子もいて、とても明るい雰囲気だ。

 

詩が好きな結城達郎は、節子に惹かれている。

 

節子に、見合いの話が来た。

 

まだ早いと難色を示す節子だが、ある日、叔母が相手の男性を連れてきた。

 

学生の一人・大浦が一芝居打って、破談に成功した。

 

戦争の最中であり、徴兵されていつ死ぬかもしれない達郎は、なかなか節子に気持ちを打ち明けられない。

 

しかし、再び縁談が持ち上がった時、達郎は節子との結婚を決意した。

 

軍人であり、内地勤務の兄・真次郎は、節子を諦めるよう達郎を諭した。

 

大浦が戦死した。

 

節子は、結核が進行していた。

 

この作品でも、山口百恵は病弱で薄幸な少女を演じている。

 

あの時代、「悲劇のヒロイン」 を賛美する風潮が強かったからか。

 

大人びた雰囲気の彼女には、はまり役である。

 

 

 

 

絶唱

三浦友和山口百恵主演、日本の映画である。

 

山陰の小さな山村。

 

小雪が、泣きながら山を駈け降り、実家に帰ってきた。

 

心配する両親に小雪は、「私のことで、旦那様と若様が喧嘩した」 と言い、泣き続ける。

 

やがて小雪は、「若様の足音が聞こえる。若様が来た。」 と言って、逃げるように裏山へ駆けだしていった。

 

そこへ、小雪の奉公先である園田家の跡取り息子、順吉が入ってきた。

 

順吉は京都の大学に通っているのだが、実業家の娘との縁談が持ち上がっていた。

 

その日、順吉は小雪と結婚すると言って、父親と喧嘩したのだった。

 

休暇が終わり、順吉は京都に戻った。

 

順吉の父は、二人を引き裂くために、小雪を遠くの親戚に預けさせることにした。

 

急ぎ大学から戻った順吉は、家を出て小雪と駆け落ちした。

 

二人は、鳥取砂丘が見える場所に部屋を借り、慎ましくも幸せな日々が始まった。

 

順吉は、肉体労働で稼いでいる。

 

また、順吉の読書会の仲間も、時々、訪ねてきた。

 

戦争が始まった。

 

ついに、順吉の元にも召集令状が来た。

 

この作品は、冒頭の映像とナレーションが、ホラー映画を彷彿とさせる。

 

それで、不安と重苦しさが後を引く。

 

ラストは、やっぱりホラーだ。

 

悲劇のヒロインが流行っていたとはいえ、大人気だった山口百恵のファンは、この映画を観て、どんな気分になったのだろう。

おしりたんてい カレーなるじけん

日本のアニメーション映画である。

 

冒頭、高価なスプーンを盗んだ怪盗Uが、刑事の追跡を振り切って列車から飛び降りた。

 

ある日の昼下がり、おしりたんていは相棒のブラウンと共に、行きつけのカフェ「ラッキーキャット」 で寛いでいた。

 

そこに、買い物帰りのパオットさんが立ち寄った。

 

パオットさんは、新しくキッチンカーでカレーを売るために、「特別なスパイス」 を買ってきたのだった。

 

それは滅多に手に入らないもので、店にあった最後の一個を、運良く買えたのだった。

 

それを見せようと袋を空けると、特別なスパイスだけが無かった。

 

ショックの大きいパオットさんは、奥の部屋で寝込んでしまった。

 

パオットさんがカレーの開発のためにしていた苦労を、ラッキーキャットのマスターは、よく知っている。

 

マスターは、おしりたんていに探してくれるよう、頼んだ。

 

おしりたんていは、パオットさんが持っていた三軒分の店のレシートから、通った道順を割り出して、探しに出た。

 

この作品は児童向けのもので、シナリオは単純である。

 

しかし、ぼうっと観ていてはいけない。

 

映像の中に、様々なヒントが、さりげなく忍ばせてある。

 

集中力を持って観ると、とても楽しめる。

 

パズルを解く楽しさだ。

 

 

フィフス・ウェイブ

アメリカのSF映画である。

 

サブマシンガンを抱えた少女が、荒れ果てた無人のコンビニに入っていく。

 

声が聞こえてきたので奥のドアを開けると、床に座り込んだ男が、拳銃を向けていた。

 

少女は、誤って男を射殺してしまった。

 

時間が遡る。

 

キャシー・サリヴァンは、オハイオ州の高校に通っている。

 

親友リズと楽しい高校生活だが、内気なので、憧れのベン・パリッシュとの距離を近づけられない。

 

ある日、巨大な宇宙船が姿を現し、上空で停止した。

 

それは浮いているだけで、何もしなかった。

 

人々は、それを「アザーズ」 と呼んだ。

 

キャシーの同級生や近所の人の中には、恐れて引っ越す人が沢山いた。

 

授業中、停電が起きた。

 

それだけでなく、携帯の電源も切れ、走っている自動車は衝突し、旅客機が墜落した。

 

宇宙船が電磁パルス攻撃をして、地球のエネルギーをシャットダウンさせたのだった。

 

これが、第1波だ。

 

次に、地殻変動が起き、大規模な津波が世界を襲った。

 

第2波だ。

 

アザーズは、インフルエンザを強毒化して、鳥を使って感染させた。

 

第3波である。

 

キャシーの母も、感染して亡くなった。

 

キャシーと弟のサムは、父に連れられ、難民キャンプに避難した。

 

そこには300人ほどが避難して、共同生活をしていた。

 

しばらく経って、陸軍がやって来た。

 

ヴォーシュ大佐と名乗る男は、子供達をバスで基地に移動させた。

 

サムをバスに乗せたまま、キャシーは乗り遅れてしまった。

 

大人たちは別の場所に集められ、全員射殺された。

 

キャシーは、サブマシンガンを拾い、サムを取り戻すため、100キロ離れた基地に向かった。

 

途中、コンビニがあった。

 

冒頭のシーンだ。

 

その後キャシーは、ハイウェイに出た。

 

そこで、彼女は狙撃された。

 

この作品は、高校生活から難民キャンプのシーンまでは、良く出来ている。

 

その後は、B級の展開になる。

 

もったいない。

 

 

 

最後の1マイル 

日本の映画である。

 

日本財団の会長であり、WHOハンセン病制圧大使として働く笹川陽平氏は、ハンセン病撲滅のために、世界を飛び回っている。

 

ハンセン病は、薬で治る。

 

日本財団は、世界中の患者に薬を無償で配っている。

 

ハンセン病の薬はハンセン病にしか効かないので、転売されることなく患者に届く。

 

この病気は、痛みを伴わないので、罹っても放っておいたままにしてしまい、やがて顔や手足が変形する。

 

それで患者は、どこの国でも差別されてきた。

 

病気は治っても、変形した身体は元に戻らない。

 

聖書にも忌み嫌うべき対象として記述されている。

 

笹川は、アフリカの部落や、インドの隔離された不可触民の患者を訪ねていき、手を取って励ます。

 

ローマ法王フランシスコが、ハンセン病患者を差別する発言をした。

 

笹川は、抗議の手紙を書いた。

 

しかし、法王が読むこことはない。

 

笹川は、ローマ教皇庁と協議して、ハンセン病に関する国際シンポジウム開催にこぎ着けた。

 

重い映画である。

 

日本でも、ごく最近まで、ハンセン病患者を隔離していたのだ。