1969年、夏。
ユダヤ人のマーティー・カントロウィッツは、毎年、家族とともにキャンプを楽しんでいる。
今年も、妻パール、娘アリソン、息子ダニエル、そして母のリリアンを伴って、キャンプ場にやってきた。
パールは10代でアリソンを産んで以来、自由な生活が送れないことを不満に思っている。
数日後、テレビの修理人をしているマーティーは、仕事が忙しいので、一旦ニュー・ヨークに戻った。
キャンプ場に、ウォーカー・ジェロームという男性が、洋服を売りにきた。
ウォーカーがダニエルと話したことがきっかけで、パールは洋服を試着し、彼の連絡先を教えてもらった。
パールは、ときめいたのだ。
マーティーは戻ってきたが、仕事が忙しくて、すぐに引き返してしまった。
欲求が限界に達し、パールはウォーカーに電話した。
7月20日、アポロ11号が月面着陸に成功した。
このシーンをテレビで見ながら、二人は愛し合った。
その後も、二人は密会を続けた。
母のリリアンが、そのことに気づいてしまった。
10代で結婚して、変化の乏しい日々を過ごしていたら、そうなるのだろうなと、納得できる作品だ。
原題は「A Walk on the Moon」で、これはアームストロング船長が月面を歩いているシーンをバックに、二人が愛し合っているところからのものである。
邦題の「オーバー・ザ・ムーン」では、意味がわからない。
月を超えて、どこに行くのだ。
スタローンの「オーバー・ザ・トップ」を真似たのか。