captainsunday’s blog

ネタバレしないように、思い出に残っている映画を、簡単に解説しています。

伊豆の踊子 ( 1974 )

山口百恵三浦友和主演、日本の映画である。

 

川端康成の小説を映画化したものだ。

 

大正時代。

 

一高 ( 現在の東京大学 ) に通う川島は、思い立って一人旅に出た。

 

途中の宿で、旅芸人の一行と出会う。

 

その中に、可愛らしい少女がいた。

 

翌日、雨の中、川島が峠の茶屋に駆け込むと、昨日の旅芸人一行が休憩していた。

 

川島は、少女から席を譲られる。

 

すると、店を切り盛りしている婆さんが、川島を奥へ案内した。

 

婆さんは旅芸人を見下しており、また、書生を尊敬していた。

 

雨が上がると、旅芸人一行は、既に出発していた。

 

川島は、走って追いかけ、下り坂で追いついた。

 

少女と目が合った川島は、照れくさくて、そのまま追い抜いていこうとする。

 

座長の栄吉が、川島に話しかけてきた。

 

話が弾み、川島は、下田まで同行することにした。

 

少女・かおるは喜んだ。

 

湯ヶ野に着いた。

 

川島は同じ宿に泊まりたかったのだが、栄吉が彼を上等の宿に案内した。

 

川島とかおるの、淡い恋物語である。

 

当時の時代背景である女性蔑視の風潮や、職業差別も描かれている。

 

美しい映像とのギャップも、いい。

 

ただ、ラストが衝撃的で、モヤモヤが残る。

 

 

野のユリ

シドニー・ポワチエ主演、アメリカの映画である。

 

車で放浪生活をしている黒人ホーマーは、アリゾナの砂漠でエンストに見舞われた。

 

歩いてたどり着いた一軒家には、東ドイツから亡命してきた5人の修道女がいた。

 

ホーマーは水をもらい、お返しに、屋根の修理を約束した。

 

翌朝、テントで眠っていたホーマーは、修道院長マリアにたたき起こされた。

 

マリアは彼に1枚の絵を渡し、教会を建設しろと言う。

 

彼女はホーマーのことを、神が使わしたに違いないと思い込んでいたのだ。

 

彼女の熱意に押され、また、腕に自信のあったホーマーは、仕事を引き受けた。

 

建築資材は、修道女達が用意する。

 

仕事は面白くなってきたのだが、ホーマーは、粗末な食事に我慢が出来なくなった。

 

そこで、建築会社で働いて給料をもらい、食料品を買い込んだ。

 

マリアは、それが気に入らない。

 

2人は衝突し、ホーマーは仕事を放り出して出て行ってしまった。

 

数日後の日曜日、遊び疲れたホーマーが改心して帰ってきた。

 

教会建設が、再開する。

 

コミカルで、テンポの良い作品だ。

 

思い込みが激しく頑固一徹な院長。

 

気の良い黒人青年。

 

プロトタイプなのだが、コメディタッチに仕上げているので、上手くはまっている。

さびしんぼう

尾身としのり富田靖子主演、日本の映画である。

 

大林宣彦監督、「尾道三部作」 の三作目だ。

 

カメラのファインダーが、尾道の風景を捕らえている。

 

僧侶がスクーターから降りた。

 

主人公・井上ヒロキの父親だ。

 

続いて、ヒロキの実家である寺で、母親が忙しくしている。

 

カメラの向きが変わり、近くの女子高が映る。

 

放課後の音楽室で、ピアノに向かう生徒・橘百合子を映し出した。

 

ヒロキの憧れであり、彼は「さびしんぼう」 と名付けた。

 

年末が近づき、寺の大掃除が始まった。

 

ヒロキは、同級生のマコトとカズオに、手伝わせた。

 

その時、母のアルバムの写真を風で飛ばしてしまう。

 

数日後、学校からの帰り、ヒロキはさびしんぼうと名付けた憧れの彼女と擦れ違った。

 

会釈してもらったのが、嬉しくて堪らない。

 

家に帰って、部屋でニヤニヤしながらファィンダーを除くと、白塗りの顔 ( キョンシーみたいなメイク ) をした女の子が現われた。

 

彼女は、「さびしんぼう」 と名乗る。

 

公開当時は、話題になった記憶がある。

 

今観ると、随分、退屈な作品だ。

 

事件もイベントもない。

 

日中のシーンの殆どがセピア色で、観づらい。

 

「転校生」と「時をかける少女」 は、面白かったのに。

 

しかし、理屈好きな人には、受けるのだろう。

 

 

バケモノの子

日本のアニメーション映画である。

 

渋谷。

 

この街には並行世界の「澁天街」 があり、そこはバケモノたちの世界だ。

 

両親が離婚し、9才の蓮は母と二人で暮らしていた。

 

母が、交通事故で亡くなる。

 

孤児になった蓮は、施設に入れられるのが嫌で逃げだし、ストリートチルドレンになった。

 

ある日、人間界にやって来たバケモノ・熊徹と出逢い、一緒に来ないかと誘われた。

 

後日、補導されそうになって逃げ出した蓮は、澁天街に迷い込んだ。

 

そこで熊徹と、再会する。

 

蓮が名乗らないので、熊徹は「九太」 と呼ぶことにした。

 

9才だからだ。

 

そして、九太を弟子にすると言いだした。

 

長らく宗師を務めていたウサギのバケモノが、引退して神様に転生すると宣言した。

 

跡継ぎの候補は、強さと品格を備えたイノシシのバケモノ猪王山と、熊徹の二人だ。

 

宗師になるには弟子を持つことが必須であり、猪王山には優秀な弟子が二人いた。

 

最初は反発していた九太だが、強くなるために熊徹の弟子になった。

 

8年が過ぎた。

 

脚本がよく練られている。

 

熊徹と九太の関係が、良い具合に描かれていて、感動的ですらある。

 

プロの声優を使っていたら、もっと優れた作品に仕上がっただろう。

 

これだけの作品を作ったのだから、客寄せに芸能人を使う必要は、無いだろうに。

 

制作者側は、自信を持っていただきたい。

 

自信がないなら、世に出すな。

 

 

晴れ、ときどき殺人

渡辺典子主演、井筒和幸監督、日本の映画である。

 

赤川次郎原作の小説を映画化したものだ。

 

北里産業会長・北里浪子は、コールガールが殺されるところを目撃した。

 

浪子は、娘の可奈子を殺すと脅されて偽証し、無実の人に罪を着せ、自殺に追いやってしまった。

 

浪子は、そのことを悔いていた。

 

アメリカ留学から帰国した可奈子は、母にそのことを打ち明けられた。

 

浪子は、自分宛の葉書から犯人の目星をつけていたのだが、それを話す前に死んでしまった。

 

独りになった可奈子は、犯人捜しをする。

 

周囲は、怪しい人ばかりだ。

 

北里産業社長・円谷は、会社を我がものにしようとしているし、その息子・正彦は可奈子にしつこく付きまとう。

 

主治医の菊井、秘書の水原も怪しい。

 

ある日、多田刑事と安岡刑事が、可奈子を訪ねてきた。

 

彼らは、明美という女性が殺された事件を捜査していて、可奈子に犯人の似顔絵を見せた。

 

刑事が帰った後、可奈子は、男が家に侵入していることに気付いた。

 

男の名は上村といい、先ほどの事件の容疑者だ。

 

上村は可奈子に対して、無罪を主張する。

 

可奈子は、村上が持っていたライターから、彼を信じた。

 

そして、屋敷の隠し部屋に匿う。

 

浪子が生前に雇っていた興信所の岩下が、筆跡鑑定の結果を持って来た。

 

しかし、何者かに殺され、書類は持ち去られてしまった。

 

可奈子は、以前、家庭教師をしてもらっていた菊井和昌に、協力を求めた。

 

和昌は、母の主治医菊井の息子だ。

 

上村が熱を出したので和昌に来てもらったところ、密告の電話で刑事がやってきた。

 

ゆる~い、作品だ。

 

リアリティーは、全く無い。

 

コメディにしたかったのだろうけれど、成功していない。

 

渡辺典子は、角川3人娘の中で最も顔立ちが良く美人なのだが、整いすぎているのか、一番人気が出なかった。

 

屋敷の中で、レオタードを着てダンスをするシーンは、楽しめる。

ビッグ・ウェンズデー

アメリカの映画である。

 

カリフォルニア。

 

マット、ジャック、リロイの3人は、働きもせずサーフィンにのめり込んでいる。

 

彼らは、伝説の大波「ビッグ・ウェンズデー」 に乗ることを、夢見ていた。

 

日中はサーフィン、夜はパーティーで酒やダンス、大麻に溺れている。

 

遅くまで飲んでいても、翌朝にはサーフィンに出掛ける3人だった。

 

ベトナム戦争が始まった。

 

仲間が招集を躱している中、真面目なジャックは志願した。

 

三年後。

 

帰還したジャックは、仲間や街の変わりようにガッカリする。

 

しかも恋人は、他の男と結婚していた。

 

もう、以前のようには楽しめない。

 

そんなある日、「ビッグ・ウェンズデー」 が来る噂が聞こえてきた。

 

自分自身の青春時代が蘇ってきて、後悔したり、戻りたくなったりするかも知れない作品だ。

 

フリーソロ

アメリカの、ドキュメンタリー映画である。

 

ロープを使わずに、自分の手足だけで崖を登る「フリーソロ」 の第一人者、アレックス・オノルドの挑戦を描いた作品だ。

 

彼は、19歳で大学を中退し、本格的にフリーソロに専念した。

 

世界的に有名になり、本も出版している。

 

次の目標は、ヨセミテ公園内にある巨大な崖「エル・キャピタン」 だ。

 

彼は、数年来、この壁への挑戦を考え、避けてきた。

 

2016年、彼は30才を過ぎ、ついに挑戦を決心する。

 

まず、ロープを使って昇りながら、足場をチェックし、ルートを探る。

 

恋人のサンニは、とても協力的だ。

 

秋、彼は練習中に落下して、足に怪我を負った。

 

足首の靱帯を損傷したのだが、じきに訓練を開始する。

 

ハロウィーンが過ぎて、寒くなってきたある日、彼は決行した。

 

しかし、登り始めて間もなく、断念する。

 

撮影クルー、カメラの存在が、彼の集中力を奪ってしまうのだ。

 

取材班は、遠隔操作のカメラや超望遠レンズを使っての撮影に切り替えた。

 

そして2017年6月3日、午前5時32分。

 

挑戦が始まった。

 

大した苦悩や葛藤を見せないのは、さすがにプロだ。

 

ひょうひょうとして、偉業を成し遂げる。