アメリカの映画である。
ベルリンの最高級ホテルである「グランド・ホテル」のロビーは、大勢の宿泊客で賑わっている。
父親から会社を引き継いだブライジングは、会社が倒産の危機にあり、イギリスのマンチェスター社との合併を計画していた。
ここに宿泊しながら、彼は連絡を待っている。
ブライシングの会社で経理係をしているクリンゲラインは、余命宣告を受けた。
それで、最期の思い出づくりのため、全財産を持ってこのホテルにやってきた。
ブライシングは、最高級ルームを用意してもらった。
ロシアバレエ団のプリマドンナ、グルシンスカヤは、ベルリン公演のために、このホテルに滞在している。
このところ落ち目の彼女は、リハーサルを休むと駄々をこねている。
賭博で負けて借金を負っているガイゲルン男爵は、グルシンスカヤの真珠を狙っていた。
孤独なクリンゲラインが、ガイゲルン男爵に話しかけると、彼は気さくに話し相手になった。
ブライジング社長は、契約の準備のために、速記者のフレムヒェンを部屋に呼んだ。
社長が風呂に入っている間、彼女が外で待っていると、ガイゲルン男爵から夕食に誘われた。
男爵は、グルシンスカヤが出かけるのを確かめて、部屋に入り、真珠を物色した。
もたもたしているうちに、グルシンスカヤが戻ってきた。
男爵は、慌ててカーテンの影に隠れた。
公演の出来に絶望していたグルシンスカヤは、自殺を図った。
咄嗟に、男爵は飛び出して声をかけた。
彼女は、最初は怪しんだが、男爵が誠心誠意慰めてくれるので、気を許した。
そして、一夜を共にした。
風呂から出たブライシングは、「マンチェスター社との契約は成立せず」との電報を受け取った。
この作品は、同じホテル内での、様々な人の物語が同時進行していく。
以後、このやり方は、「グランド・ホテル形式」と呼ばれるようになった。
登場人物が丁寧に描かれていて、感情移入しやすい。