日本の映画である。
1995年、野々宮希和子は、裁判で証言をしていた。
彼女は、子供を誘拐して、四年間育てていたのだった。
10年前の1985年、希和子は下着メーカーで働いていた。
当時、不倫をしていた秋山との間に子供が出来た。
中絶した希和子は、二度と子供が産めない身体になった。
当時、秋山の妻も妊娠しており、やがて娘・恵理奈が生まれた。
希和子は、この子を殺しに行く。
しかし、殺すことが出来ずに連れ去ってしまった。
希和子は、この子に薫と名付けて、育てる。
最初、いろいろな事情がある女性達を匿っている「エンジェルホーム」 という、施設に行った。
さらに、そこで知り合った人の紹介で、その人の母の実家に身を寄せる。
風光明媚な、小豆島だ。
希和子は、そうめん工場で働きながら、薫を育てた。
そんなある日、「虫送りのまつり」 でアマチュアカメラマンが撮った写真が、コンクールで入賞した。
大々的に報道されたその写真に、希和子と薫が、はっきりと映っていた。
希和子は、警察に捕まることを覚悟して、薫との思い出作りをする。
時が過ぎ、2005年、薫は秋山恵理奈に戻って生活していた。
大学生だ。
ある日、エンジェルホームの誘拐事件を取材しているというフリーライター、安藤千草に声を掛けられた。
この時、恵理奈は、バイト先の男と不倫して妊娠していた。
重苦しい作品である。
薫を愛している希和子が、切ない。