上田孝夫は、売れない小説家だ。
妻の美智子は医師なのだが、パニック障害を患ったため、孝夫の故郷、長野県の谷中村に、夫婦で引っ越した来た。
この村にある阿弥陀堂は、96歳のおうめ婆さんが守っている。
夫婦は、おうめ婆さんに挨拶を済ませた後、村の歓迎会に出た。
美智子は、週三回、村の診療所を開き、孝夫は村人の手伝いをしながら、交流を深めていく。
ある日、孝夫は村の広報誌のコラム「阿弥陀堂だより」 に目を止めた。
おうめ婆さんの名前で、優しい文章が載せられていた。
おうめ婆さんを訪れた孝夫は、病気で声を失った少女・小百合と出会う。
小百合は、おうめ婆さんの話を文章にして、「阿弥陀堂だより」 として寄稿していた。
こんな具合に、たんたんと物語が進んでいく。
中学校の講堂で観させられた教育映画みたいな作品だ。
北アルプスが、美しい。
盛り上がる場面が全く無い映画だが、なぜか、心に残る。
このように穏やかに過ぎる時間を、心の底で求めているのだろう。