松田龍平主演、日本の映画である。
1995年。
玄武書房では、見出し語が24万語の新しい辞書「大渡海」を作ることになった。
ところが、ベテラン編集者の荒木公平が、妻の介護のため定年で退職する。
辞書編集部には、彼ほど優秀な者はおらず、後釜を探すことになった。
そこで白羽の矢が立ったのが、第一営業部の馬締 ( まじめ ) 光也だ。
大学院で言語学を勉強し、入社3年目の彼は、名前の如く真面目だが、コミュニケーション能力が欠けていた。
営業には、全く向いていなかった。
光也は荒木にスカウトされて、辞書編集部に異動した。
これから作る辞書は、若者が使っている新しい言葉や、意味が変化してきた言葉も取り入れる。
光也は、俄然、興味を持った。
光也は、学生時代から同じ下宿「早雲荘」に住んでいる。
彼は、大家のタケとだけは、まともにコミュニケーションが取れた。
夜になると、野良猫の「トラさん」が訪ねてくる。
ある日の夜、いつものようにトラさんの鳴き声がするので窓を開けたが、姿は見えない。
そこで、上の階に登っていくと、ベランダにトラさんを抱いた美しい女性がいた。
タケの孫娘、香具矢だ。
光也は香具矢に一目惚れした。
辞書作りの現場という、知らない世界が見られる。
香具矢役の宮崎あおいが、暖かい。