堤真一主演、日本の映画である。
小さな港町。
青年医師、中村弘平の母・浪子が亡くなり、荼毘に付された。
看護師をしていた母は病院をたらい回しされ、適切な医療を受けられずに急死したのだった。
都会の病院ならこんなことにはならなかったのに、という思いが、弘平にはあった。
母は、なぜ田舎の病院にこだわっていたのだろうと思いつつ、遺品の整理をしていると、母の日記が出てきた。
1989年。
浪子は夫と別れた後、幼い弘平を保育園に預け、さざなみ市民病院で看護婦 ( 当時は看護師ではなく看護婦 ) をしていた。
彼女は復職してすぐ、手術室担当 ( オペ看 ) になった。
慶應医大から派遣された野本六男ら外科医は、偉そうにしているだけで、まともに手術ができなかった。
途中で諦めて、患者を慶應医大に移送することもしょっちゅうだった。
ある日、手術のミスで患者が死んだ。
自分が手渡したクーバーやぺアンが患者の血管を傷つけ、死に追いやった。
自分も共犯者だ。
そう感じた浪子は、つくづく嫌になった。
ある日、手術道具をぞんざいに扱って整理しているところを、優しく扱いなさいと、知らない男に諌められた。
新たに赴任してきた外科医の当麻鉄彦だった。
当麻が院長室で市長らと会っている時、急患が運ばれてきた。
虫垂炎だと思われていたのが、肝臓癌で、出血していた。
いつもなら慶應医大に移送するところだが、そんな時間は無いと当麻は手術を申し出た。
彼は、ピッツバーグ大学で肝臓移植などを学んできた名医なのだ。
緊急の手術が始まった。
この作品は、実在の医師・永末直文さんをモデルにしている。
堤真一の静かな演技がいい。