役所広司主演、日本の時代劇映画である。
赤穂浪士討ち入りから十六年。
四十七士の生き残り、寺坂吉右衛門は砂浜を歩いていた。
彼は浜で働く漁師の中に、茅野和助常成の妻きわを見つけて駆け寄った。
きわの家に案内された寺坂は、大石内蔵助から託された小判を、きわに手渡した。
討ち入りの後、寺坂は大石の命を受けて、討ち入りした浪士の遺族を訪ね歩いていたのだった。
十六年かかって最後の一人が、きわだった。
役目を果たした寺坂は、浪士の十七回忌法要が行われる京へ向かった。
途中、茶屋で一息ついているとき、親友だった瀬尾孫左衛門を見かけた。
寺坂は慌てて駆け寄ろうとしたが、瀬尾は去っていった。
瀬尾は、十六歳になる可音と、山奥でひっそりと暮らしていた。
その日、可音は師匠のゆうのもとで、琴の稽古をしていた。
琴の腕前は、ゆうを超えるほどになっていた。
京に着いた寺坂は、大石の又従兄弟である進藤長保を訪ねた。
寺坂は、瀬尾を見かけたことを進藤に話した。
瀬尾家は、三代に渡り大石家の用人だった。
孫左衛門は、若くして妻を亡くし、子もおらず、大石とともに死ぬことを覚悟していると思われていた。
しかし彼は、討ち入りの前日に蓄電したのだった。
原作の良さを損なわずに、良い作品に出来上がっている。