1943年、ロンドン。
バス停に、長い行列ができていた。
やってきた二階建てバスに、割り込み乗車しようとする女がいた。
米国人パイロットのデイヴィッド・ハロラン中尉は、その女を押し除け、バスにしがみついた。
その時、女は「赤ちゃんが」と言いながら、お腹を押さえて蹲った。
デイヴィッドは慌てて飛び降りた。
そんな彼に、女は微笑んだ。
彼は、足を引きずって立ち去ろうとした。
自責の念に駆られた女は、彼に謝った。
彼は、その場で飛び跳ねてみせた。
デイヴィッドは、彼女に「コーヒー」でもどうかと誘った。
彼女は「紅茶なら」と答えた。
二人は、出逢ってしまった。
デイヴィッドは木曜日に会いたいと頼んだが、彼女は名前も告げずに去っていった。
彼女の左の薬指には、指輪がはまっていた。
爆撃を終えて帰還し、木曜日は休日だ。
彼は、ハノーバー通りの、あの場所へ行った。
いくら待っても、彼女は来ない。
諦めて帰ろうとした時、彼女が現れた。
二人はホテルへ入り、愛し合った。
抱き合う時、彼女の頭に優しい夫と娘の顔がよぎった。
彼女の名前は、マーガレット・セリンジャー。
歳の離れた夫ポールは、イギリス情報部に勤めている。
ポールは妻の不倫に気づいたが、優しく振る舞い続けた。
彼は、フランス領内にあるドイツ軍本部に潜入する任務に、自ら志願した。
そして米軍機B-25に搭乗、パイロットはハロラン中尉だった。
彼らの乗る飛行機は、ドイツ軍の攻撃により撃墜された。
パラシュートで脱出したポールは、任務を続行することを決めた。
共に脱出したデイヴィッドは、危なっかしい彼に同行することにした。
この作品は、前半はラブロマンス、後半はアクションシーンが楽しめる。