日本のアニメーション映画である。
冒頭、雨の夜。
女子高生、山内桜良の通夜が行われている。
主人公「ぼく」 は、自室のベッドの上、最後に送ったメール「君の膵臓をたべたい」 を、彼女が読んだのかどうか、考えている。
時間が戻る。
春。
盲腸手術の抜糸のために病院を訪れた「ぼく」 は、共病文庫と題された日記を拾う。
そこに、同じクラスの山内桜良が話しかけてきた。
桜良は膵臓の病気で、余命宣告されていた。
「ぼく」 は、家族以外でそのことを知る、唯一の人間となった。
彼女に口止めされるが、元々友達もいないし、話す相手もいない。
「ぼく」 は、いつも本ばかり読んでいて、放課後は図書委員として図書室に入り浸っている。
図書委員に空きがあったので、桜良は押しかけるように図書委員になった。
明るく屈託のない桜良は、「ぼく」 を焼き肉に連れ出した。
別の日には、スイーツの食べ放題だ。
スイーツ店では、桜良の親友・恭子に出くわした。
恭子は、「ぼく」 と桜良が、仲良くしているのが気に入らないようだ。
クラスでは、2人は付き合っているのかと、話題になった。
「ぼく」 は、詮索されるのが嫌だ。
桜良は、「付き合ってないよ。ただの仲良し」 と、笑っている。
5月の連休。
桜良に呼び出されて駅まで行くと、旅行だった。
新幹線で、九州へ。
ホテル側の手違いがあり、同じ部屋に泊まることになる。
「ぼく」 は、陽気に振る舞っている桜良が、死を恐れていることを知った。
タイトルだけ見ると、ホラーか、おちゃらけた物語かと感じるだろう。
あるいは、左翼監督による、理屈っぽい映画かと。
違う。
この作品は、真面目で、繊細で、美しい物語である。
映像も、美しい。