昭和30年代前半。
高知県の山間の村。
小学生の山本篤義は、兄と一緒に、仕掛けてあった鰻を取りに行った。
今日も、いい鰻がかかっていた。
自宅は雑貨店をしている。
父の秀雄は宇和島に出稼ぎに行っていて、店は母のスミが切り盛りしていた。
家には篤義が拾ってきた猫のキイがいて、子供を産んだ。
母は、「猫屋敷になったら、お客さんが来ない」と、子猫を捨てるつもりだ。
優しい篤義は、母に叱られても、子猫の居場所を言わなかった。
ある日、父が怪我をしたとの知らせが入り、母は病院に出かけて行った。
父は足を怪我していて、しばらく入院しなければならなかった。
長女の朝子は、中学を卒業したら集団就職するつもりだったが、母は朝子に店を手伝ってもらいたかった。
この作品は、篤義の成長物語である。
大自然を走り回る子供たちが、とても生き生きと描かれていて、気持ちがいい。
ただ、「大人も子供も、辛い現実と折り合いをつけながら暮らしていくしかない」、そういう思いにもさせられる。