松岡茉優主演、日本の映画である。
3年に一度開かれる芳ヶ江国際ピアノコンクールの優勝者は、その後、著名なコンクールで優勝することが多い。
20歳の栄伝亜夜は、久しぶりのコンクールに緊張していた。
かつて天才少女と呼ばれていた彼女は、7年前に母親を亡くし、表舞台から姿を消していた。
彼女が、震える指を押さえながら出番を待っていると、先に終わった少年が微笑みかけてきた。
少年は風間塵、16歳。
亜夜の演奏を聴いた審査員の嵯峨三枝子は、一次予選は通るが、その後は難しいと予想した。
今回の注目は、ジュリアード音楽院のマサル・カルロス・レヴィ・アナトールだ。
完璧な演奏とルックスで、人気も高い。
28歳の高島明石は、楽器店に勤めるサラリーマンだ。
年齢的に、今回が最後のチャンスである。
彼は、専門家だけではなく、生活者の音楽というものがあると信じている。
一次予選後の審査会で、風間塵の評価が分かれていた。
彼を批判する審査員に対して、嵯峨はピアノ演奏の大家ユウジ・フォン = ホフマンの手紙を見せた。
それは、塵を高く評価していた。
平坦な作品である。
音楽に抑揚はつきものなのに、物語に抑揚が無い。
演奏に興味のない人は、寝てしまうだろう。