三浦友和主演、日本の映画である。
富山地方鉄道の列車が、雪のアルプスを背景に走っていく。
踏切の前に停車している軽自動車の中で、滝島佐和子と娘の麻衣は、もうすぐ定年の父にお祝いをするのか話していた。
列車の運転士を42年間勤めてきた滝島徹は、35年間無事故無違反を続けてきた。
同僚たちは、定年後も会社で働くよう勧めているが、徹は退職するつもりだ。
かつて看護師をしていた妻の佐和子は、出産を機に仕事から遠ざかっていた。
彼女は、富山赤十字病院の緩和ケア科の面接を受けた。
もう一度、看護師として自分の人生を生きたいと思ったのだ。
定年後、佐和子と旅行でもしようと思っていた徹は、彼女から看護師に戻りたいと伝えられて、腹を立てた。
決心の堅い佐和子は、家を出た。
あとひと月で退職の徹は、急遽、新人研修を任せられた。
所沢から来た小田友彦は、子供の頃に憧れた西武の列車「レッドアロー」が、引退後に富山地方鉄道で使用されていると知って、志願したのだった。
佐和子のことで苛立っていたこともあって、徹は友彦にきつく当たった。
母を癌で亡くした佐和子は、母の最期を悔やんでいた。
さらに、健康診断で再検査となり、結果は良性だったものの、そのことで死を考えるようになった。
悔いのない人生を送るため、佐和子は離婚届にハンを押して、結婚指輪と共に徹に手渡した。
背景に見える雪のアルプスが美しい。
物語は淡々と進み、ラストは予想通り。
ありきたりな作品だ。