海辺にある長閑な街、珠海市。
夫と二人で暮らしている桜井久美は、夢を見ていた。
それは、中央アジアのどこかの国の建物に、戦闘チームを率いて人質を奪還する作戦だった。
ところが人質はフェイクであり、彼女に弟を殺されたロシアの諜報員ドラグノフが待ち構えていた。
彼女は格闘の末、ドラグノフに傷を負わせ、救出に来たヘリで逃げた。
という内容だ。
過去の記憶を喪失している久美は、定期的にカウンセリングを受けている精神科医の三枝礼子に、相談した。
礼子は、格闘系のテレビゲームをやめるようアドバイスした。
珠海市の沖合に、メタンハイドレート埋蔵されていることが分かり、採掘推進派の市長と、自然を守りたい反対派が対立していた。
近々、市長選があり、反対派「珠海の自然を守る会」リーダー、五十嵐晴夫が立候補を表明していた。
先日、メタンハイドレートを研究していた北原教授が、行方不明になった。
久美の夫・裕司は、地元の高校で数学を教えている。
同僚の矢部真二は、市長の元夫だが、開発反対派だ。
「珠海の自然を守る会」の事務所が荒らされた。
18ヶ月前。
伊佐山菜美は、夫の勇輝と幸せに暮らしていた。
勇輝は、公安の人間であり、結婚という形で菜美を密かに監視していたのだった。
ある日、互いに正体を知った二人は、銃を向け合った。
そして、勇輝が発砲した。
それは、侵入してきた外国人工作員に対してだった。
銃撃戦の最中に頭に銃弾を受けた菜美は、命は助かったが、記憶を喪失した。
公安の新しい任務で、勇輝は桜井裕司と名乗り、記憶を失った菜美を連れて珠海市に移ってきたのだった。
菜美の名前は、久美とした。
裕司は、メタンハイドレート採掘事業に伴う不審な金の流れを調査するため、反対派に接近した。
五十嵐が若者の集団に襲われ、暴行を受けた。
助けに入った久美は、体が自然に動いて、相手を叩きのめした。
この作品は、テレビシリーズの続編という形だが、それを観ていなくても理解できるし、楽しめる。
伏線の回収が、きちんとしている。
前半は退屈だが、物語が進むにつれてスピード感が増していく。
ただ、西島秀俊に、格闘は似合わない。