レバノンの映画である。
貧民街を小柄な少年が、後ろ手に手錠をかけられて連行されていく。
刑務所で歯の診断を受け、「乳歯が無いので12歳くらいだ」と告げられた。
少年の名前は、ゼイン・アル・バーン。
ゼインは、男を刺した罪で5年の刑を宣告され、服役している。
服役中、彼は両親を告訴した。
数ヶ月前。
セインは、両親と大勢の兄弟たちと一緒に、ボロアパートに住んでいた。
父親は、ゼインが学校に通うことを許さなかった。
彼は、路上で自家製ジュースを売ったり、大家のアサードが営む雑貨店を手伝っていた。
ゼインは、歳の近い妹サハルを大切にしていた。
アサードかサハルに色目を使うので、なるべく遠ざけるようにしてた。
サハルに初潮が来た。
数日後、両親は滞納した家賃と鶏を引き換えに、サハルをアサードの嫁がせた。
ゼインが必死に抵抗したが、サハルはバイクに乗せられて、行ってしまった。
ゼインは、家出してバスに乗った。
バス停で、スパイダーマンの格好をした老人が乗り込んできて、ゼインの隣に座った。
少し話した後、老人は遊園地のあるバス停で降りた。
ゼインも、追いかけるよう降りて、遊園地に入った。
そこで働かせてもらおうと、あちこち掛け合ったが、子供の彼を誰も雇おうとはしない。
レストランで掃除婦をしていた女性ラヒル・シファラが、彼を不憫に思い、自宅に連れてきた。
ラヒルには、赤ん坊の息子ヨナスがいた。
ラヒルが働きに出ている間、ゼインがヨナスの面倒を見た。
エチオピア難民のラヒルは、滞在許可証の期限が切れかかっていた。
彼女は、髪を売ったりして、偽造の許可証を手に入れた。
そして、市場に出かけたきり、帰ってこなかった。
ゼインはヨナスを連れて市場に探しに出かけたが、見つからなかった。
この作品は、非常に重い。
ゼインの逞しさに、感動する。