夏目雅子主演、日本の映画である。
昭和20年9月。
淡路島の江坂国民学校初等科5年の教室では、担任の中井駒子に指示されながら、子供たちは教科書の不適切表現とされるところをを、墨で塗りつぶしていた。
子供たちは、「教科書が真っ黒になる」と文句を言っている。
駒子は、新婚早々に出征した夫・正夫の戦死の知らせを受けた。
それで、このまま夫の家に留まっているべきかどうか、悩んでいた。
夫の両親は、次男の鉄夫との再婚を望んでいる。
しばらくして、海軍提督の娘・波多野武女が転校してきた。
悪ガキどもは、彼女と提督を進駐軍から守るのだと、騒いでいる。
ある日、進駐軍が来て、砲台を爆破していった。
その夜、駒子は鉄夫に手籠にされた。
翌日、戦死したはずの夫が、片足を失っていたものの、無事帰ってきた。
前の晩に体を奪われたという負い目がある駒子は、正夫と顔を合わせることができなかった。
正夫は、島を去った。
翌年の春、波多野提督が巣鴨に出頭した。
娘の武女は島に残った。
生徒の一人、正木三郎の兄・二郎が帰ってきた。
彼は戦後のどさくさで金を儲けて、ずいぶん羽振りがいい。
愛人を連れて学校にやってきた二郎は、校庭でキャンディーをばらまいた。
先を争って、それを奪い合う子供たちを見て、駒子は子供達に野球を教える決心をした。
この作品は、作詞家・阿久悠の自伝的小説に基づいている。
教師役の夏目雅子が、凛としていて、美しい。
だが、これが遺作となった。
題名から野球の映画とイメージするが、なかなか、野球は出てこない。
そして、なぜ野球なのかの必然性が、示されていない。
結局は人生いろいろ、悲喜こもごも、という内容の作品だ。