中井貴一主演、日本の時代劇である。
江戸末期。
彦根藩の下級武士、志村金吾は剣術の腕を買われ、藩主井伊直弼の近習に取り立てられた。
井伊の人柄に惚れ込んだ彼は、命をかけて御守りすると誓った。
私生活では、妻セツを娶り、家督を相続した。
安政七年三月三日。
桜田門外で、井伊の乗った籠が襲撃された。
金吾が、刺客の一人を追っている間に、井伊は殺された。
知らせを受けた金吾の両親は、自害した。
金吾は、切腹することも赦されず、生き恥をさらしながら、逃亡している者たちを探して討ち取らねばならなくなった。
事件の後、刺客の一味は自害したり、自首してきたりで、残りは五人。
金吾の捜索も虚しく、彼らは逃亡先で、次々に死んでいった。
十三年後。
文明開化で、周囲が洋風化していく中、金吾は丁髷、袴姿に二本差しで、残る一人、佐橋十兵衛を捜している。
生活は、妻のセツが支えていた。
そのころ十兵衛は、直吉と名を変えて、人力車を引いていた。
ある日、金吾は旧友、内藤新之助と再会した。
司法省の役人になっていた内藤は、金吾の力になるため、元評定所御留役の秋本警部に相談した。
秋本は、金吾を呼び寄せた。
その日、仇討ち禁止令が出た。
時代劇であるが、派手な立ち回りは殆どない。
地味だが、心に染み込んでくるような作品だ。
台詞が丁寧なのが、いい。