堀越二郎は、飛行機が大好きな少年だった。
夢の中で、イタリア人航空機設計者カプローニと出会ったことが切っ掛けで、自分も設計者を目指す。
数年後、二郎は東京帝大に入学し、航空学を学んだ。
夏休みに帰省先から東京へ戻る途中、二郎は関東大震災に遭遇する。
その時、少女と連れの女中を助けた彼は、名前も告げずに立ち去った。
東京帝大を卒業した二郎は三菱に入社し、航空機設計者として歩み始めた。
優秀な彼は、ドイツ・ユンカース社への視察団の一員に選ばれた。
入社して5年。
二郎は、新型艦上戦闘機の開発主任に抜擢された。
昭和8年、最初の試作機が完成する。
しかし、初飛行で空中分解してしまった。
傷心の二郎は、休暇を取って軽井沢に出掛けた。
散歩の途中、飛ばされたパラソルを拾って返してやると、震災の時に助けた少女・里見菜穂子だった。
あれから10年経ち、菜穂子は美しい女性に成長していた。
名前も告げずに立ち去った二郎は、菜穂子にとって、ずっと憧れの王子様だった。
二郎も、彼女を覚えていた。
休暇の間、2人は急速に仲を深めていく。
しかし菜穂子は、結核を患っていた。
主人公は、零式艦上戦闘機を設計した、実在の堀越二郎をモデルにしている。
美しい物語だ。
画像も、美しい。