中年サラリーマンの加賀美じゅんは、結婚して三年目になる日が近づき、悶々としていた。
前妻が三年目に突然家を出て、離婚したのだった。
今の妻ちえと再婚するにあたって、三年過ぎた時にこの間結婚生活を続けるかどうか確認する、と約束していた。
そんなある日。
じゅんが帰宅すると、ちえが口から血を流して倒れていた。
ちえを揺すっても反応がなく、じゅんは救急車を呼ぼうと電話したのだが、慌てて117番にしてしまった。
動揺した彼に、ちえは大喜びだった。
翌日、職場でじゅんは同僚の佐野壮馬に、昨夜のことを話した。
佐野は、二人の仲の良さを羨ましがった。
その日、じゅんが帰宅すると、ちえはワニに頭を食われて倒れていた。
その後も、ちえの死んだふりは続いた。
佐野に相談すると、「何か言いたいことがあるのでは」という。
ある時、じゅんはちえに合わせてみればいいのでは、と思って演技した。
その日のちえは、矢を全身に受けて死んだ落武者だった。
じゅんは駆け寄って、「おやかた様〜」と泣いた。
この作品は、夫婦関係をコミカルに描いたものだが、芯はしっかりしている。
ちえのような妻がいれば、毎日が楽しくて仕方がないと思うのだが、当事者になると悩むのかもしれない。
とてもいい作品だ。