中井貴一主演、日本の映画である。
筒井肇は、大手家電メーカー、京陽電器の経営企画室長だ。
ある日、専務から工場の閉鎖と跡地の売却、人員のリストラを頼まれた。
取締役昇格への実績作りでもあると言われた彼は、リストラと聞いて躊躇したが、引き受けた。
筒井は、工場長の川平吉樹を訪ねた。
川平は筒井と同期で、親友でもある。
川平の一人息子は病弱で、20歳まで生きられるかどうかの状態だ。
川平は、病床の彼が作った木彫りの人形を、筒井に手渡した。
彼は、快く筒井の申し出を受けて、工場閉鎖の目処をつけた。
筒井は川平に、本社に戻って一緒に頑張ろうと誘ったが、川平は残りの人生は自分の好きに使わせてもらうと応えた。
筒井は会社一筋で、家庭を顧みない。
妻の由紀子は、ハーブの店を出すために忙しい。
大学3年生になる一人娘kの倖 ( さち ) とも、すれ違いが多い。
出雲で一人暮らしをしている筒井の母・絹代が、心筋梗塞で倒れた。
筒井と倖は、見舞いに駆けつけた。
絹代の容態が落ち着いた頃、川平が交通事故で亡くなったとの知らせが入った。
川平の葬儀が終わり、再び出雲に戻った筒井は、子供の頃集めていた電車の切符を見つけた。
母が、残していたのだ。
筒井の子供の頃の夢は、近くを走る一畑電車の運転士になることだった。
彼は今まで、一度も夢に挑戦してこなかったことに、後悔があった。
そんなおり、一畑電鉄が運転士を募集していることを知る。
彼は、早速応募した。
長閑な田園風景、少人数でアットホームな雰囲気の一畑電鉄、時間がゆっくり流れていて、心地よい。