名取裕子主演、日本の映画である。
安政5年、貧しい農家の娘、勢以は、京都の葉茶屋「ちぎりや」 の養女となった。
養親に大事にされて育ったが、二十歳の頃、養親は相次いで他界した。
翌年、婿を向い入れ、二女を授かった。
勢以が二十六歳の時、婿が他界した。
以後、勢以は店を切り盛りしながら、二人の娘を育てる。
次女の津也は、絵が上手だった。
時代は、明治になった。
通っている小学校の教師、西内大鳳の勧めで、画家の高木松溪に弟子入りした。
そして腕を上げた津也は、絵画展で賞を取った。
津也が十六歳の頃、西内は絵を勉強する為、欧州に留学した。
津也は、寂しさを紛らわすように絵に没頭した。
ある日、松溪に誘われて出向いた料亭で、津也は手籠めにされた。
師匠に逆らえば、絵の世界では生きていけなくなるから、津也は、されるがままにいるしかなかった。
松溪には妻がいるので、不倫の関係である。
やがて、津也は身籠もった。
実在の女性画家、上村松園をモデルにした伝記的作品である。
時代背景もあるが、全体に暗い作品だ。