イギリス、イタリア合作の映画である。
イギリス人服地商パオロの秘書をしているメアリーは、パオロの私生児ルカを英国紳士として育てて欲しいと頼まれた。
フィレンツェに滞在している英国人の貴婦人達に知り合いがいて、彼女らに教育を任せることにした。
中年のオバさん達 ( おばあさんといえる人もいる ) が、少年に作法を教え、楽しく愉快な日々を送る。
そこに、米国人のジョージやエルサも加わるが、粗雑な米国人を英国貴婦人達は快く思わない。
そんな日々も長くは続かなかった。
ルカは、パオロの指示でオーストリアに留学した。
ドイツ語を習得するためだ。
1940年。
帰国したルカが目にしたのは、強制収容所に入れられようとしている英国人達だった。
イタリアとイギリスは、敵同士として戦争していたのだ。
粗末な収容所でも英国流を貫こうとするオバさんたちは、なかなかパワフルである。
ルカは、密かに恋しているエルサのために、ユダヤ人に偽造パスポートを運んだりと、危険なことをしていた。
さて、「ムッソリーニとお茶を」というのは、映画の一シーンとして描かれている。
イタリア政府が外国人排斥を始めた頃、抗議のためにオバさんたちは、ムッソリーニに会いに行った。
ムッソリーニは彼女たちを、英国式にもてなしたのだ。
戦争という背景がありながら、コメディタッチで楽しい作品に仕上げている。