夜。
航行中の貨物船「西央丸」の船長・島谷秀彰は、意識が朦朧とする中、必死で舵を取ろうとしていた。
船内では、倒れた一升瓶から酒がこぼれ、船員は皆、倒れている。
西央丸は、通りかかったイージス艦に衝突し、転覆。
そのまま沈没した。
島谷の葬儀が行われ、地元選出の防衛大臣・鵜城英二が参列した。
島谷の妻・加奈子は、事故の調査報告に納得がいかず、鵜城に詰め寄った。
護衛に引き剥がされて転倒した彼女の鞄から、包丁が飛び出した。
それを拾おうとした彼女と護衛が揉み合いになり、護衛が怪我をした。
加奈子は、傷害の現行犯で逮捕された。
東京地方裁判所第3支部第1刑事部、通称「イチケイ」の裁判官・坂間千鶴は、「他職経験制度」を利用して、岡山の日尾美町に来ていた。
彼女は2年間、弁護士としての経験を積むのだ。
ここに来て3ヶ月、千鶴の最初の仕事は、交通事故を起こした高齢者・尾花トメの弁護だった。
ゴールド免許を所持していて、慎重に運転する尾花は、その日、停車していたシマハマ株式会社のトラックを避けようとして、桃のモニュメントに衝突したのだった。
千鶴は、トラックが積載していたドラム缶が落ち、その時の土埃で視界が遮られたと主張した。
そして、居眠りしている裁判官を、千鶴は一括した。
イチケイの同僚だった裁判官・入間みちおは、日尾美町の隣にある秋名市の裁判所に赴任した。
脚本がよく練られていて、伏線の回収も自然だ。
テレビドラマの劇場版だが、テレビを観ていなくても理解できる。