日本のアニメーション映画である。
昭和初期、広島市江波。
主人公・浦野すずの幼少期のエピソードから始まる。
おっとりした性格のすずには、兄と妹がいた。
すずは絵を描くのが得意で、持てなくなるほど鉛筆が短くなるまで、夢中で絵を描いている少女だ。
さらに、物語も作っている。
すずは、18歳の時、呉の北條周作のもとに嫁いだ。
周作も、その両親も優しくて、幸せな日々を過ごす。
やがて日本は戦争に。
物資が減っていき、食べ物も配給になった。
そこへ、周作の姉・径子が、娘の晴美を連れて里帰りしてきた。
夫を亡くし、夫の両親とは上手くいっていない。
径子はすずと正反対の性格で、何もかもてきぱきとこなす。
柔らかいタッチの絵と、おっとり、のんびりした性格の主人公だが、非常に重い内容だ。
戦争に負けかけている時の庶民の悲惨さが、リアルに伝わってくる。
悲劇的結末ではないのが、救いか。