イギリス・アメリカ合作の映画である。
1998年ロサンゼルス。
葬儀で老婆がスピーチをしている。
彼女の名はマリア・アルトマン、ユダヤ人だ。
彼女はナチスの迫害を逃れ、オーストリアからアメリカに亡命していたのだった。
ナチスは、個人所有の美術品を多数略奪していた。
オーストリア政府は、ナチスが略奪しオーストリア政府が所有している美術品の返還を始めていた。
その中に、「黄金のアデーレ」と名付けられた絵画があった。
第二次大戦の前、フェルディナンド・バウアーは事業に成功して、裕福だった。
彼は、妻のアデーレをモデルにして肖像画を描かせていた。
マリアは、アデーレの姪である。
アデーレには子供が無く、絵画の相続権はマリアにあった。
マリアはオーストリア政府に返還請求すべく、知人の若手弁護士ランディに依頼する。
ランディは大手法律事務所に就職したばかりで忙しく、一旦は依頼を拒否した。
しかし、美術品の価値が1億ドルであることを知り、引き受ける。
「黄金のアデーレ」は、オーストリアの宝となっていて、政府は返還を拒否。
欲しければ裁判にかけろと、強気だ。
オーストリアで裁判を起こすには、秘術品の価値から見て、数百万ドルが必要になる。
マリアとランディは、諦めざるを得なかった。
しかし九ヶ月後、アメリカで安く訴訟が出来ることが分かり、早速、手続きをはじめる。
裁判は、最高裁まで進んだが、マリアの年を考えると、これ以上長引かせるのは得策ではなかった。
ランディは、オーストリアで調停する決心をした。
この作品は、重厚で見応えがある。
最初は金額で動いたランディが、やがて法律事務所を辞めてまで正義のために動く。
その心の変化が、分かりにくい。
随所にマリアの回想シーンが挟まれていて、ナチスによるユダヤ人の迫害が描かれている。
真実に基づいた作品だから、歴史の勉強にもなる。