captainsunday’s blog

ネタバレしないように、思い出に残っている映画を、簡単に解説しています。

県庁の星

織田裕二主演の映画である。

 

K県の職員、野村聡がスーパー満天堂へ派遣される。

 

保健所に何度も立ち入り検査され、客も少ない落ちぶれたスーパーだ。

 

野村は再建のために尽くすが、従業員からは、厄介者扱いされる。

 

総菜部門では、あまりの不衛生さに文句を言うものの、聞いてもらえない。

 

野村は、弁当作りのチームを作って、競うことにした。

 

野村が率いるのが、ちゃんとした食材を使った高級弁当、パートの二宮あき ( 柴崎コウ ) が率いるのが従来通りの弁当だ。

 

結果、高級弁当は、全く売れず、惨敗する。

 

野村は、婚約者にも逃げられ、すっかり落ち込んでしまった。

 

二宮が、野村をデートに誘う。

 

野村は二宮のお陰で、女性の好むものが分かり、スーパー再建に役立てる。

 

というような物語だ。

 

堅苦しくて融通が利かないという役人のステレオタイプを、織田裕二がうまく演じている。

 

男っぽい二宮は、柴崎コウにぴったりだ。

 

初期の「踊る大捜査線」みたいなコメディタッチも、いい。

 

邦画は、監督の思想信条が見え見えの作品が多くて、大半がつまらないのだが、これは、楽しめる作品だ。

フリーダム・ライターズ

リチャード・ラグラヴェネーズ監督、実話を元にしたアメリカの映画である。

 

1994年、ロサンゼルスの公立高校に、新米教師エリンが赴任した。

 

極めて荒れた高校だ。

 

三年生になるまでに、ほぼ辞めてしまうという。

 

エリンのクラスは、白人、黒人、ラテン系の子供らが互いにいがみ合っていて、喧嘩が絶えない。

 

子供達の家庭も、凄まじく問題があり、まともな家庭の子はいない。

 

ギャングに入っていたり、親から虐待されていたり。

 

学校の中も外も、子供達にとっては戦場なのだ。

 

そんなクラスでも、理想に燃えるエリンは、様々な工夫をして子供達の心を開いていく。

 

他の教師達が皆、諦めきっている中、エリンの奮闘は凄まじい。

 

アルバイトまでして、教材を買い与える。

 

子供達も、次第に心を開いていく。

 

ある日、一人一人にノートを渡し、日記を書くよう勧めた。

 

子供達は、最初は乗り気ではなかったが、次第に、家庭のこと、自分の苦しみなどを正直に打ち明ける。

 

夏休みには、みんなで「ホロコースト記念館」の見学に出掛けた。

 

フリーダム・ライターズ」というのは、子供達の日記を本にして出版した時の題名である。

 

この作品は、非常に丁寧に作られている。

 

秀作とは、こういう作品のことをいう。

 

何を置いても、是非観て頂きたい作品だ。

 

 

ブリッツ

ジェイソン・ステイサム主演、イギリスの映画である。

 

主人公ブラントが、夜中に車上荒らしをしている少年達をボコボコにするシーンから始まる。

 

ブラントはロンドン市警の刑事で、暴力が過ぎて謹慎していた。

 

監査官に対して、「首にしたら何をしでかすか分からないぜ」と脅し文句を吐き、復職する。

 

雨の夜、徒歩で巡回中の婦警が射殺された。

 

連続警官殺しの始まりだった。

 

犯人のワイスは、新聞社に電話して自らを「ブリッツ」と名乗っていた。

 

ブラント刑事は、情報屋から犯人に目星を付け部屋に押し入るが、証拠が無く退散する。

 

このとき、かつてビリヤード場で叩きのめして病院送りにした奴だと分かった。

 

ブラント刑事の同僚が殺された後、ワイスを逮捕する。

 

しかし、証拠不十分で釈放。

 

もはや、法の力では、どうすることも出来なくなった。

 

随分、雑なシナリオである。

 

警察組織に取材をしたことがないのだろうか。

 

折角、ジェイソン・ステイサム主演なのに、アクションシーンといえば、悪ガキをホッケーのスティックで叩きのめすところと、犯人を追いかけるところくらいしかない。

 

派手な撃ち合いも、無い。

 

監督が自分のために撮ったような作品だ。

 

こういう駄作を数多く観ることが、秀作を観る目を養うことになる。

 

 

マイライフ・アズ・ア・ドッグ

少年の成長を描いた、スウェーデンの映画である。

 

1958年、12歳のイングラムは、母と兄エルサの三人で暮らしていた。

 

父親は出稼ぎに行き、母は、結核を患っている。

 

悪戯好きの兄は、いつもイングラムをいじめていた。

 

辛いとき彼は、スプートニクに乗せられて宇宙で餓死したライカ犬よりマシだと、自分を慰めていた。

 

兄のいじめがエスカレートし、イングラムが失禁したこともあって、彼は叔父の家に預けられることになった。

 

叔父グンネルもその妻も、大歓迎してくれた。

 

イングラムも、のびのび暮らすことが出来、新しくできた友達とサッカーをしたりして過ごしている。

 

イングラムは、ある日、ボクシングをさせられた。

 

相手の子は強く、一発でダウンさせられた。

 

その子は、実は女の子で、名前をサガという。

 

イングラムは、一度実家に帰るが、また、叔父の家に預けられる。

 

帰っている間に、おじいさんが亡くなっていて、一階を他人に貸していた。

 

サガは、イングラムに恋をしていた。

 

また、別の女の子もイングラムを好いていて、彼は、その子の家に行く。

 

二人っきりになりかけた時、サガがやってきて、イングラムを連れ出そうとした。

 

サガの一言で、彼は突然、犬のように吠えながら、サガの足に噛みついた。

 

という具合に、大事件が起きるわけでもなく、日常が淡々と描かれている。

 

思春期の少年・少女の性の目覚めが、映画のあちこちにちりばめられていて、ちょっとドキドキさせられる。

 

サガが、胸のふくらみを打ち明けたり、イングラムがヌードデッサンを覗こうとしたり。

 

全体にほのぼのとした作品で、ラストもいい。

ムッソリーニとお茶を

イギリス、イタリア合作の映画である。

 

第二次世界大戦直前の1935年、フィレンツェ

 

イギリス人服地商パオロの秘書をしているメアリーは、パオロの私生児ルカを英国紳士として育てて欲しいと頼まれた。

 

フィレンツェに滞在している英国人の貴婦人達に知り合いがいて、彼女らに教育を任せることにした。

 

中年のオバさん達 ( おばあさんといえる人もいる ) が、少年に作法を教え、楽しく愉快な日々を送る。

 

そこに、米国人のジョージやエルサも加わるが、粗雑な米国人を英国貴婦人達は快く思わない。

 

そんな日々も長くは続かなかった。

 

ルカは、パオロの指示でオーストリアに留学した。

 

ドイツ語を習得するためだ。

 

1940年。

 

帰国したルカが目にしたのは、強制収容所に入れられようとしている英国人達だった。

 

イタリアとイギリスは、敵同士として戦争していたのだ。

 

粗末な収容所でも英国流を貫こうとするオバさんたちは、なかなかパワフルである。

 

ルカは、密かに恋しているエルサのために、ユダヤ人に偽造パスポートを運んだりと、危険なことをしていた。

 

さて、「ムッソリーニとお茶を」というのは、映画の一シーンとして描かれている。

 

イタリア政府が外国人排斥を始めた頃、抗議のためにオバさんたちは、ムッソリーニに会いに行った。

 

ムッソリーニは彼女たちを、英国式にもてなしたのだ。

 

戦争という背景がありながら、コメディタッチで楽しい作品に仕上げている。

 

 

ロボコップ ( 2014 )

アメリカの映画である。

 

シリーズ3まで作られた「ロボコップ」の、第一作をリメイクしたものだ。

 

舞台は、近未来のデトロイト

 

オムニコープ社は、軍事用ロボットを海外で売りさばいて大儲けしていた。

 

しかし、アメリカ国内では、感情のないロボットが人を撃つことに抵抗を感じる人が多く、普及していない。

 

CEOは、人間とロボットを融合したアンドロイドの制作を、ノートン博士に依頼した。

 

その頃、武器売買を捜査していたアレックス・マーフィー刑事が、爆破テロで重傷を負う。

 

機械の身体を装着する以外に、生きる道はなかった。

 

アレックスは、アンドロイドとして復活した。

 

彼は、人としての感情が残っていたため、時に射撃を躊躇する。

 

ロボットと同じ性能が欲しいCEOは、アレックスのドーパミン分泌を極端に減らした。

 

その結果、彼は感情のないロボットのようになってしまい、家族に関心を持たず、幼い息子の前でも躊躇なく引き金を引いた。

 

家族、特に父と子の絆を描くところは、アメリカの実情を反映しているのだろう。

 

離婚が多いアメリカでは、父と子が一緒にいることが「理想」の域になってしまっている。

 

それをシナリオに組み込むから、安っぽい作品になってしまった。

 

通信がアクリル板みたいなスマホになっていたり、これまた、アクリル板みたいなタブレットを使ったり、未来的な雰囲気を出そうとしている。

 

二足歩行のロボットが完全自動で動いているのに、車は人が運転している。

 

あらを探せば、つじつまの合わないところが沢山出てくるが、こういう作品も観ておけば、映画の勉強になる。

 

 

 

 

 

 

ネイビーシールズ・チーム6

アメリカの映画である。

 

ウサマ・ビン・ラディン暗殺作戦の模様を描いた作品だ。

 

2011年、ウサマ・ビン・ラディンパキスタンに潜伏しているとの情報を得たCIAは、建物を特定する。

 

確かにいるという確証が無く、無人爆撃機で攻撃することは出来ない。

 

また、彼の妻や子供達などが大勢、一緒にいることもネックだった。

 

作戦は、米海軍特殊部隊シールズが突入し暗殺する、ということになった。

 

チームは、連日、訓練を積み重ね、精度を上げていく。

 

米政府は、地元の医師に隠しカメラを持たせて、敷地内に侵入させる。

 

カメラの映像から、ウサマ・ビン・ラディンがいることを確信した米政府は、作戦を遂行した。

 

この映画では、兵士のヘルメットに装着したカメラで動画を撮影し、作戦本部が観ているという設定だ。

 

映像では、このカメラの映像と実際の映像が頻繁に入れ替わって、観づらい。

 

目が、チカチカする。

 

撮る側のエゴが満たされ、観る側はストレスが溜まる。

 

そういう作品だ。

 

出演しているのが、ロバート・ネッパーやウィリアム・フィクトナーだから、つい、「プリズンブレイク」を思い出して、イメージが重なってしまった。

 

この映画より、「プリズンブレイク」のほうが、ずっと、面白い。