日本のアニメーション映画である。
秩父。
高校二年生の相生あおいは、今日も放課後、秩父橋のベンチで1人、ベースの練習をしていた。
いつも夕方、市役所で働いている14歳年上の姉、あかねが、仕事帰りに車で迎えに来てくれる。
あおいは、「あか姉 ( あかねえ ) 」 と呼んでいる。
13年前、交通事故で両親を亡くして以来、二人暮らしだ。
あかねが高校生の頃、あかねと付き合っていた慎之介がバンドを組んでいて、近所のお堂で練習していた。
あかねが、おむすびを差し入れに行く時、幼いあおいもついていって、バンドの練習を見ていた。
それで、あおいはペースが好きになったのだった。
慎之介から、大きくなったら俺のハンドのベーシストだと言われたことを、あおいは覚えている。
高校卒業後、慎之介は東京へ行った。
一緒に専門学校へ行く約束をしていたあかねは、両親が亡くなったため、地元の市役所に就職した。
同級生で、現在バツイチ、一人息子の正嗣を育てている正道は、あかねと結婚したがっている。
ある日、あおいがいつものように、お堂でベースの練習を始めた。
そこに突然、18歳の慎之介が現れた。
あおいは、びっくりして家に駆け戻った。
慎之介は、見えない壁に阻まれて、お堂から出ることができない。
姉に上手く話せないでいると、二人は、突然、正道からイベントの手伝いに呼び出された。
西武秩父駅で、今回のイベントゲストに呼んでいる大物演歌歌手、新渡戸団吉の出迎えだ。
派手なトレーラーで歌いながら登場した団吉のバックバンドに、慎之介がいた。
その夜、あおいは正嗣を連れてお堂に行き、18歳の慎之介と話した。
彼は、あかねが東京行きを断念した夜、そのまま眠ってしまい、目覚めたら「今」 だった。
この作品は、温かい。
あかねとあおいが、互いに思いやる心が、とてもよく表現されている。
二人の気持ちが、よく伝わってくる。
絵も、美しい。
ただ、あかねの吹き替えが棒読みで、残念だ。