日本のアニメーション映画である。
消息を絶った婚約者、伊集院忍を追って花村紅緒は満州に来た。
紅緒が乗った列車が、馬賊に襲撃される。
馬賊の手下どもを打ちのめした紅緒は、頭領が忍だと期待していた。
しかしそれは、忍の部下だった鬼島軍曹だった。
鬼島から経緯を聞いた紅緒は、彼はどこかで生きていると希望を持ち、帰国した。
勤め先の編集長に励まされ、紅緒は記者としての仕事に邁進した。
ある日、取材先で同級生の環と再会した。
その夜、二人で酒を呑み、帰り道にUFOを目撃する。
しかも、借りた双眼鏡で観たのは忍ぶの姿だった。
翌日、ロシアからの飛行船が緊急着陸したとの連絡が、編集局に入った。
紅緒達が見たのは、飛行船だったのだ。
紅緒は、早速取材に出掛けた。
飛行船に乗っていたのは、ロシア革命で日本に亡命してきた貴族、サーシャ・ミハイロフ侯爵と妻のラリサだ。
サーシャは、忍に瓜二つだった。
紅緒はサーシャに駆け寄ろうとして、転んでしまった。
サーシャは、優しく紅緒に手を差し伸べた。
彼は、紅緒のことを全く覚えていない。
しかし紅緒は、サーシャが彼女を見て「マリンカ」 と囁いたのが、頭から離れなかった。
サーシャが忍だったら特ダネになるとして、紅緒は編集長を説得し、二人で政府による侯爵夫妻の歓迎会に忍び込んだ。
紅緒が侯爵の部屋に入ると、ラリサが一人でいた。
部屋には、サーシャとラリサの結婚式の写真があった。
これで別人だと判った紅緒は、失意の内に部屋を出た。
その後、満州から帰国した鬼島軍曹により、サーシャ・ミハイロフは忍の腹違いの弟だと判明した。
登場人物が、みんな真面目で、誠実で、それぞれに感情移入してしまう。
原作者、大和和紀の力量が凄いのだ。
また、この映画は、客寄せパンダを使わずに、プロの声優で固めている。
素晴らしい。