松田優作主演、日本の時代劇映画である。
福井藩士の双子六兵衛は、小さな犬にも怯える、藩きっての臆病者だ。
妹のかねは、兄のせいで付け文さえもらえないと嘆いている。
呑気な六兵衛は、そんなにお嫁に行きたいのですかと、妹にさえ丁寧な言葉で話をするる。
福井藩が武芸指南役として新しく抱えた仁藤昴軒は、めっぽう強く、藩士たちを荒っぽく指導した。
痛めつけられてばかりの藩士たちに、不満が募る。
とうとう、みんなで仁藤を闇討ちすることにした。
それを知った御側小姓の加納平兵衛は、急いで止めに入ったが、藩士の一人が斬られた。
加納は、一瞬迷ったが、仁藤に斬りかかって返り討ちにあった。
他の藩士たちも、皆、斬り殺された。
仁藤は、そのまま藩を去った。
無断で去ったことに怒った藩主は、上意討ちを命じた。
福井藩の面目を保つため、上意討ちに出かけるのは一人である。
仁藤の強さを知る藩士たちは、押し黙ったままだった。
手柄を立てて妹に結婚させてあげたいと思った六兵衛は、意を決して立候補した。
そして、仁藤を追って旅に出た。
六兵衛は、すぐに追いついた。
彼は、仁藤の後ろ姿に恐れをなして距離を取ったつもりが、いつの間にか追い越していた。
そして、後ろから仁藤に声をかけられた。
上意討ちと知った仁藤が正々堂々の勝負を挑むと、あまりの怖さに六兵衛は、「ひとごろし」と叫んで、逃げ出した。
この時、往来の人々も大混乱で逃げ出したのを見た六兵衛は、これは使えると思った。
そして、仁藤が茶屋に立ち寄ったり、旅籠に入ろうとした時、「ひとごろし、その男はひとごろしだ。いつ人を殺すかわからない。」と叫んだ。
すると、みんなが逃げ出した。
こうして六兵衛は、しつこく仁藤を悩まし続けた。
時代劇コメディである。
仁藤昴軒を、丹波哲郎が演じている。