アメリカの映画である。
ニューヨークの老舗ダンスホール「ローズランド」を舞台にして、三つの話がオムニバスに展開される。
どれも、夫を亡くした老婦人が主人公だ。
あらたな恋を見付けたり、亡き夫の思い出にふけったり、自分の老後を考えさせられる作品である。
事件は起きず、スリルもサスペンスもないし、ハラハラドキドキの展開とは無縁の映画だ。
この映画を観ても、老後の参考にはならないが、こういうのも、たまにはいい。
筒井康隆の小説を原作として、何度も映画化されている。
アニメやテレビドラマにもなっている。
その中で、大林宣彦監督、原田知世主演の作品が、原作に近くて違和感なく楽しめる。
素朴で、切なくて。
ただ、原作を読んでいる人には、どの作品も物足りないだろう。
小説を読んでイメージした世界は、実写で作り出すのは不可能だからである。
全作品を観たわけではないが、後発になるほど、前作との違いを出そうという無理が出ている。
それに、台詞が、日本語として汚い。
今風にしようとしているのだろうけど。
アニメになると、主人公自体、原作とは変わってしまっている。
それでも、吹き替えが下手くそであることに目を瞑り、新たな別の作品として観れば、後発の実写版を超えて、面白い。
SFは、ハリウッドみたいに多額の資金をつぎ込むか、アニメにするかだね。
ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン主演の映画である。
東京を舞台に、孤独を扱ったものだ
主人公ビルは、ハリウッドの映画俳優である。
通訳は付いているものの、彼自身、日本語が全く分からないので、疎外感を感じる。
妻と子供がいるが、心が通っていない。
彼は、同じホテルに宿泊している若いアメリカ人女性と知り合った。
彼女は、旦那について来日したのだったが、旦那が仕事に出ているので、日中は独りだ。
二人は出会うが、深い関係にはならない。
言葉の通じない日本に来て、孤独を癒してくれる「友人」なのだ。
淡々とした作品である。
僅かな予算と短期間の撮影だったにも関わらず、アメリカではヒットした。
個人主義の国であるから、「孤独」が、口に出来ない一つのテーマなのかも知れない。
サンドラ・ブロック、ライアン・レイノルズ主演の、ラブ・コメディーである。
ニューヨークの出版社で働くマーガレットは、ある日、会長から国外退去を命じられた。
カナダ人だった彼女は、ビザの期限が切れていたのだ。
そこで、従順な部下アンドリューを相手に、偽装結婚を思いつく。
自分は40歳、彼は28歳であるのだが。
まさに、パワハラである。
しかしアンドリューは、クビになるのを恐れて、命令に従うことにした。
二人で移民局に行くが、審査官に偽装を疑われる。
そこで、マーガレットはアラスカにあるアンドリューの実家へ行くことにした。
アンドリューの両親は、暖かく彼女を迎えてくれた。
アラスカでの日々は素晴しく、マーガレットは、いたたまれなくなって、偽装結婚だと打ち明け、一人、ニューヨークに帰ってしまう。
ところがアンドリューは、彼女と過ごす内に、本当の彼女を知り、恋に落ちていた。
マーガレットを追いかけてニューヨークら戻った彼は、彼女にプロポーズする。
アラスカでアンドリューの本当の姿を知ったマーガレットもまた、彼に恋していた。
めでたく結ばれ移民局に申請に行くが、審査官は、まだ疑いの目で見る。
仕事一筋に生きてきて、婚期を逃した中年キャリアウーマンを、サンドラ・ブロックが面白おかしく演じている。
コメディーの中にも、ハラハラドキドキのサスペンスを仕込むところが、流石ハリウッドの脚本だ。
ロシアの映画である。
世界的チェリスト、ロストロポーヴィッチとおペラ歌手の妻のインタビューを中心とした、ドキュメンタリータッチの映画だ。
当局に逆らったとして国籍を剥奪されたり、西側諸国での活躍など、ドラマチックな人生が語られている。
クラシック音楽に興味のない人には、退屈な映画だろう。
小澤征爾が指揮するウィーン・フィルとの共演も収録されている。
こういう作品を観て、少しなりとも知識が有れば、上流階級と交わる時に役立つこともある。