captainsunday’s blog

ネタバレしないように、思い出に残っている映画を、簡単に解説しています。

22年目の記憶

韓国の映画である。

 

1972年、ソウル。

 

舞台俳優のキム・ソングンは演技が下手で、息子のテシクは学校でいじめられていた。

 

ソングンは、セリフを完全に暗記したことをアピールし、リア王の代役を得た。

 

その日、観にきていたテシクの前で舞台に立ったソングンは、緊張からセリフに詰まってしまった。

 

芝居は散々で、監督にも叱られ、息子も黙って帰ってしまった。

 

ソングンは、楽屋で一人、落ち込んでいた。

 

そこに、男が入ってきた。

 

男は、ある芝居のオーディションをするので参加して欲しいと言った。

 

ソングンは、オーディションに参加したが、無様な醜態を晒してしまった。

 

ところが、彼は一次審査を通った。

 

一次審査の合格者たちは、目隠しをされてバスで運ばれた。

 

そして、服を脱がされて、拷問された。

 

拷問に耐えたソングンは、合格した。

 

南北共同声明が発せられた朝鮮半島では、統一の機運が高まっていた。

 

韓国中央情報部 ( KCIA ) は、近々開催されるであろう南北首脳会談に備えて、さまざまな準備を行っていた。

 

その一つが、模擬会談だった。

 

ソングンは、北朝鮮の最高指導者、金日成主席役を決めるオーディションに合格したのだ。

 

ソウル大学演劇科のホ・サムウン教授が、つきっきりで演劇指導した。

 

それは単に演技だけでなく、「金日成ならどう考えるか」と、彼になり切ることを目的としたものだった。

 

やがてソングンは、金日成が乗り移ったようになった。

 

そこまでやったのに、南北首脳会談は開かれなかった。

 

 

これは、後味の悪い作品である。