「ザナドゥ城」と呼ばれる大豪邸で、主人のチャールズ・フォスター・ケーンが、ひっそりと息を引き取った。
彼は最後に、「薔薇のつぼみ」という言葉を、言い残した。
ある会社が、彼の生涯をまとめたニュース映画を制作した。
試写が行われたが、内容がいまひとつだったため、改めて周辺を取材することになった。
上司のロールストンは、記者のトンプソンに、「薔薇のつぼみ」という言葉には意味があるに違いないから探れ、と命じた。
ケーンは、二度結婚し、二度離婚していた。
トンプソンは、まず、二度目の妻スーザンを訪ねた。
しかし、何も聞き出せず、次に、銀行家サッチャーの回顧録を調べに行った。
かつてケーンの両親は、宿屋を経営していた。
ある時、客から宿泊費の代わりに受け取った金鉱の権利書に、大きな価値があることが判った。
その権利書の名義人だった母は、資産の運用をニューヨークの銀行家サッチャーに任せることにした。
その際、ケーンを彼に預けて高等教育を受けさせ、ケーンが25歳になった時、財産を全て相続させる取り決めをした。
雪の中、小さなソリで遊んでいたケーンは、その日のうちに両親と別れて、ニューヨークに旅立った。
25歳になったケーンは、手にした財産で、新聞社を買収して経営に乗り出した。
大衆に迎合する記事を全面に押し出した新聞は、売れに売れて、彼は大金持ちになった。
そして、大統領の姪と結婚した。
彼に、政治家への野心が芽生えた。
脚本や撮影方法が、当時としては画期的で、名作だとされている。
ただ、大きな事件が起きるわけでもなく、スリルやサスペンスもなく、退屈な作品だ。