佐々木芽生監督、アメリカのドキュメンタリー映画である。
ニューヨーク、マンハッタン。
1LDKのアパートに暮らす、ヴォーゲル夫妻を追った作品だ。
郵便局員の夫ハーブと、図書館司書の妻ドロシーは、芸術作品が好きだ。
二人でギャラリーやアーティストを訪ねては、激論を交わし、時に作品を購入する。
二人は、購入する条件を決めていた。
一つは、自分たちの給料で買うことができるもの。
もう一つは、アパートに入るもの。
だから、二人が買うものは高級品ではなく、あくまでも自分たちが気に入ったものだけだった。
長年にわたって買い続け、その数は4000点を越えている。
中には、有名なアーティストの無名の頃の作品もあり、高額で売ることができる作品が、沢山ある。
しかし二人は、売って儲けようという気持ちは、全くない。
それで、コレクションは増え続けた。
小さなアパートには、これ以上、収まらない。
この作品は、退屈ではある。
しかし、心が洗われる。
「ちりも積もれば山となる」 と思うのは、無粋だろう。
監督が日本人だというのも、何だか、嬉しい。