高倉健主演、日本の映画である。
昭和の終わり頃、鹿児島県知覧で、山岡秀治はカンパチの養殖を営んでいた。
妻の知子と二人暮らしで、子供はいない。
その代わり、漁船「とも丸」 を我が子のように大事にしていた。
知子は重い肝臓病で、人工透析をしている。
元号が平成に変わった頃、青森にいる親友・藤枝が自殺したとの連絡が入った。
互いに特攻隊の生き残りであり、藤枝は毎年、山岡にリンゴを送ってくれていた。
後日、藤枝の孫・真美が、藤枝の遺品であるノートを携えて、山岡を訪れた。
そこには、山岡への感謝が綴られていた。
数日後、かつて知覧の母と呼ばれていた「富屋食堂」 の主人山本富子から、ある頼みを受けた。
それは、特攻で帰らぬ人となった金山少尉ことキム・ソンジェの遺品を、韓国の遺族に渡して欲しいというものだった。
金山少尉は、山岡の妻・知子の婚約者だった人だ。
少尉が特攻で散った後、後を追おうとした知子を、山岡が引き留めたのだった。
また金山は山岡に、「自分は知子や、家族、朝鮮民族の為に戦うのだ」 との遺言を、口頭で伝えていたのだった。
山岡は、知子の余命がわずかであることを医師から聞かされ、韓国行きを決心した。
二人は韓国に渡り、キム・ソンジェの実家を探し当てた。
左翼的な反戦映画、といえる。
しかし、高倉健の魅力は、何物にも代え難い。