アメリカの映画である。
11歳のオスカーは、アスペルガー症候群で、他人と接することが苦手だ。
父トーマスはオスカーに、「昔、ニューヨークには6番目の区があったんだ。」と告げ、「調査探検」することにした。
9月10日の夜、父はオスカーに新聞を読んであげた。
「セントラルパークのブランコの所で、メモが発見された。科学調査の結果、第6区で書かれたものだと判明した・・・。」
父とオスカーの、最後の会話となった。
9月11日、同時多発テロが起き、トーマスは犠牲になる。
家に帰ったオスカーは、留守番電話に入っている父の声を聞いた。
一年後、ショックから立ち直りかけたオスカーは、父が何か残してくれていないか、クローゼットを探してみた。
そこで誤って割ってしまった青い花瓶から、鍵が出てきた。
鍵屋に調べてもらい、鍵が入っていた封筒に書かれた「ブラック」という人を尋ねることにした。
電話帳で住所を調べ、まず、アビー・ブラックという人を訪ねた。
ところが、夫が去っていくところに出くわしてしまったため、会わずに帰ってきた。
オスカーは、今でも留守番電話に入っている父に言葉を聞く度に、アザができるほど腹をつねる。
自分に罰を与えているのだ。
あの日彼は、父の呼びかけに、怖くて出ることができなかったのだった。
直接手を出さず、遠くから見守っている母親の愛情。
優しい祖母。
成長していくオスカー。
「障碍は個性であり、障碍者も普通の人間だ」 などと、過剰な演出がない。
さすが、アメリカの映画である。