スティーブン・スピルバーグ監督、ダニエル・エル = ルイス主演、アメリカの映画である。
南北戦争が始まって4年、大統領のリンカーンは、合衆国憲法修正第13条を通す決心をしていた。
これが通れば、奴隷制度は廃止される。
しかし、南部の主要な産業は綿花であり、奴隷は重要な労働力だった。
また、奴隷が解放されると、白人の職業が、黒人に取られてしまう恐れがあった。
格安で雇えるのなら、経営者は黒人を雇うのだ。
北部の人にとっても、ありがたい話ではないのだ。
リンカーンは、国務長官ウィリアム・スワードに、賛成票を集めるよう指示した。
共和党保守派のブレアは、南部連邦の代表者に合わせてくれるならと、条件を付けてきた。
リンカーンは、会合を工作する。
ある日、大学生の息子のタッドが帰ってきた。
軍に入るという。
妻のメアリーは、猛反対する。
既に1人の息子を亡くしているのだ。
大統領としての立場もあるリンカーンは、苦悩する。
この映画は、人間リンカーンを、淡々と描いている。
重くて、暗くて、長い作品だ。
映画を楽しみたい人向き、ではない。
上の立場に祭り上げられ、セルフイメージとのギャップが苦しみに繋がっている。
使命感に生きる、というのは、このようなものなのだろうか。