1952年、医学の進歩により不治の病が治るようになった。
1967年、人類の平均寿命は100歳を超えた。
このようなテロップから始まる。
27歳のキャシーは、「介護人」になって9年だ。
ガラス窓を隔てた向こう側は、手術室。
ベッドに寝かされた上半身裸の若い男性が、彼女を見て微笑んでいる。
キャシーも、微笑みを返した。
舞台は1978年、ハールシャム寄宿学校に飛ぶ。
ここの生徒であるキャシーは、四年生だ。
生徒達は、柵の外に出ることを固く禁じられていた。
ある日、ルーシーという若い先生が赴任してきた。
キャシーのクラスで、ルーシー先生は生徒達に、彼らの生きる目的を伝えた。
ここを卒業した生徒は、臓器提供者となる。
数度のの提供で、若いうちに人生が終わるんだと。
1985年、18歳になったキャシーは、同級生のトミー、ルースとともに、「コテージ」といわれる施設に移った。
ここで、「順番」を待つのだ。
ヘールシャムにいた頃、キャシーはトミーが好きだった。
しかし、ルースが横取りし、今も2人は愛し合っている。
孤立していたキャシーは、「介護人」申請をして、コテージを出て行った。
介護人は、臓器提供後のドナーが回復するまで、世話をする。
提供後にドナーが亡くなることを、「終了」といい、終了した者の書類など手続きをするのも、介護人の仕事だ。
1994年、キャシーは、二度目の提供をして弱っているルースに出会った。
2人は、別の施設にいるトミーに会いに行く。
この映画は、切なくて堪らない。
キャシー役のキャリー・マリガンが完璧で、映画が真実だと感じてしまう。
原作者のカズオ・イシグロは、近未来ではなく、過去の出来事として書いている。
そのことで、心のモヤモヤが取れない。
内容は、未来にあり得る話だ。
だから、余計に考えさせられる映画である。