古いイタリア映画である。
シチリア島に暮らす漁民一家を描いたもので、全編シチリア島で撮影されている。
出演者が全員、シチリア島の住民であり、俳優ではない。
イタリア語やシチリア方言が分かる人には、台詞が下手だという印象があるだろう。
字幕で見る限り、違和感はない。
生活がそのまま出ているので、返ってリアリティのある作品になっている。
物語は、搾取されている漁民の青年ウントーニが、仲買人と喧嘩したことが切っ掛けで、独立する所から始まる。
そして、借金をして鰯の加工工場を始めた。
所が嵐の日に漁に出掛け、船も漁具も失ってしまう。
鰯は、仲買人に安値で買いたたかる。
抵当に入っていた家は、銀行に取られてしまう。
恋人は去ってしまう。
弟は、密売人に。
祖父は入院。
ウントーニは、酒に溺れるしかなかった。
しかし、ここから立ち直っていくのだ。
どん底に落ちても、希望があれば這い上がることが出来る。
第二次大戦で大敗して3年後の作品である。
イタリア人への、復興の励ましのメッセージだ。