日中合作の映画である。
今日の作品については、ラストまで書くので、ネタバレが嫌だという人は、スルーして頂きたい。
1924年、日中戦争の前、日本の棋士・松波六段は中国を訪れ、江南の棋王といわれている況易山と対局する。
しかし、勝負が付く前に官憲に中止させられた。
松波は、況易山の息子阿明を日本に連れて帰り、囲碁を仕込む。
彼は、めきめきと腕を上げ、天聖位に付いた。
また彼は、松波の娘・巴と恋仲になり、娘をもうける。
しかし、幸せは続かなかった。
日本に帰化することを強要されのだ。
それを拒否して、中国へ密航を企てるが、港で憲兵に射殺されてしまう。
巴はショックで、気がふれてしまった。
戦後、況易山は息子を捜しに、焼け野原になった東京へ来るが、息子の最後を知り、傷心の帰国をする。
戦争が終わり、15年。
松波は、日中囲碁交流団の一人として中国に渡り、況易山と再会する。
況易山は、忘れかけていた苦しい思い出が蘇ってきて、複雑な思いだった。
だが、松波は自身と況易山の孫娘を連れてきていたのだ。
彼女に促されるように、二人は35年前に未完に終わった対局を再開する。
孫娘・況華林役の伊藤つかさが、実にかわいらしい。
彼女を挟んで、二人が対局を始めるシーンは、なかなかの見物である。
この作品の軍部が出てくるシーンでは、日本側を悪者として描いている。
日中国交正常化10周年記念の作品ということで、左翼思想に凝り固まった日本の映画関係者達は、彼らが敬愛する中国共産党に、媚び諂っているのだ。
自虐史観も、たっぷり兼ね備えている。
反日映画かと、思うほどだ。
だから、現代の我々が観ると、「それは違うだろう」と、腹立たしい場面もある。
しかしながら、いらいらさせられても、ラストですっきりする作品だ。
観る人は、最後まで辛抱して頂きたい。